政治家とリーダーシップ

今回は、政治家に必要なものとリーダーシップのあり方について著述された、山内(2007)『政治家とリーダーシップーポピュリズムをこえて』の内容をまとめておく。

 

 

全体の流れとしては、まず著者自身の考える政治家のあり方、求められる資質などを述べた後に、それが日本の教育システムのもとでは、もはや獲得するのが難しくなっていることを指摘する。その後、混迷している中東情勢に目を向け、中東和平のために中東の指導者にも同様の能力が求められていることを確認した後、再度日本の政治家が果たすべき役割を述べ、筆を置いている。

 

以下、本書のポイントを、備忘録的に書き残しておく。

・政治エリートとは、大局観と総合力に培われ、健全な愛国心と国民への忠誠心をもつ人々

・大局観と総合力は教養とそれに基づく判断力によってもたらされる(45ページ)

・政治家にとって、教養とは知識量の絶対的な多さではなく、ある物事を決定したり、判断を下すときに、自分なりの揺るぎない根拠を自他共に持てるか否かという点にかかわるもの。→ある分野に偏っていないバランスのとれた知と教養が必要

・日本と日本人に関わる歴史軸と空間軸をしっかりもつことが必要

・指導者(特に外交に携わるもの)は、何を言うべきかをよく検討していないうちは、喋りたくてもその誘惑に勝てる自制心をもたなくてはならない。

・中東和平には、当事者双方が妥協という前向きで良い方向への「変節」が必要→このような変節をする決断と勇気は、一時的に汚名を被ることがあろうと、歴史において必ず蘇る日がくる