政治家の条件

いまだコロナ禍の真っ最中ですが、今回は書評、というか読書メモです。

タイトルにつられたものの、中身は発行時の時事的な出来事を批評するものがほとんどだったので、参考になりそうな部分だけ読み、簡単に残しておきたいと思います。


さて、今日読んだのは森嶋通夫(1991)『政治家の条件ーイギリス、EC、日本』です。


著者は本書で、ウェーバーの「信条倫理」と「責任倫理」を持ち出しつつ、政治家に必要な条件を論じています。すなわち、政治家には、自分が本心からやりたいと思っていること、それに対する熱情(信条)が必要な一方で、現実を冷静に見て、後から論理的に説明できること(責任を果たせること)の両者が必要であるとします。それに加えて、両者をバランスよく使い分けるバランス感覚(私はそれを強かさともいえるかなと思いました)が必要だとも述べています。

確かに、熱情だけが先走っても周りの支持は得られませんし、リアリスティックなだけでは、思い切ったことはできません。その点から、著者の言う通り、バランス感覚が必要なのでしょう。


また、もう一点気になったのが、日本の政治家に対し、知恵を身につけるという注文が入っている点です。著者が言うところによると、政治の世界には、信条が異なる人を相手にするわけなので、政治家に必要なのは、そのような人々を説得する力であり、説得するためには論理、知恵が必要というわけです。

ただ、この点については、論理に優れている石破さんの現在の立ち位置を考えると、それもまたバランスが必要なのかなというのが正直な感想です。